暇な時間が嫌いだ

お金を取れない絵しか描けない、何者でもない自分が嫌いだ。

そんな何者でもない自分を直視してしまう、暇な時間が嫌いだ。

ぽってりと空白の時間ができると、途端に憂鬱になってしまう。

暇になるくらいなら、何か仕事を入れておいた方が良い。

何かをしている間だけが、一番落ち着ける。

 

●●●●が終わらなくって、netflixで「このサイテーな世界の終わり」というドラマを最後まで見てしまう。不安定なティーンエイジャーの言動の全てが実に心地よく心に入ってくる。まだ何者でもない彼ら、何かに対して苛立ちを感じつつも、その対象を見つけ出せない彼らの破壊的な行動は支離滅裂に見えて、やがて何らかの秩序を見出したかのように収束してゆく。彼らは世界の大きさがわからないから、無秩序に周りの壁をノックして回っているだけなのだ。試行回数が上限に達すると、彼らはその裏にある社会のシステムを実感として悟り、自分たちの向かっていく方向を収束させてゆく。

 

 明るくなってきた空を眺めながら、近所のコンビニに飯を買いに行った傍、まだ太陽も登っていない暗いうちからバス停の前で並んでいる会社員たちが目に入りやりきれない気分になる。彼らの生活は、僕には全く合わない。何かを作ることでしか、あのドラマのティーンエイジャーのように脆く移ろいやすいこの不安定な衝動を、収めることができない。そう思いながら、しかし自分も数時間もすれば同じようにして会社へ向かわなければならないと思う。

本当に、何かを作りたいと思った。まだ何者でもない自分を呪いながら

何かを作ることで、何かが良い方向へ向かっていくような気がした。